本とぽんず

ビジネス書籍の書評などをあれこれ綴るブログ

書評『若者を殺すのは誰か?』

若者を殺すのは誰か? (扶桑社新書)

若者を殺すのは誰か? (扶桑社新書)

 

世代間格差について取り上げた本です。きっとみんなが思っているであろう本音をズバズバと言って、政治家や日本の終身雇用制度を徹底的に批判しています。

 

改めて書かれるとショックです。

 

会社員が加入する厚生年金は、70歳と30歳で約5000万円ほどの差額が生じている。にもかかわらず、政府は将来70歳に支給開始年齢を引き上げるなんて事を言っている。

 

また、年金だけでなく、医療介護も含めた社会保障に日本の財源も加えた「生涯を通じた純受益額」にも格差が生まれている。60歳以上の世代が受け取る生涯の純受益額は4800万円以上のプラスだが、30代の純受益額は約1200万円のマイナスである。

 

つまり、年金は払い損。老人たちのためにお金を吸い取られていく構図です。

でも、有権者のマジョリティは老人たちなので、政治家は年金カットなどの施策はやらない。あげく、定年制を実質的に65歳まで引き上げ、新卒採用枠が減らされて、若者の職が奪われるという始末。

 

読めば読むほど、この国は終わっていると思います。

 

政治批判の部分も多いのですが、雑誌SPAで連載していたものをまとめたものなので、自民党政権になる前の情報になっており、古い部分もありますが、十分読めます。

 

でも、これ読んでも若者は立ち上がらないだろうな・・・。

最近の若者は、優秀な学生とおいおいって学生に二極化している気がします。

 

今日会った学生は、大学院在学中で、今就活が始まったばかりと言っていましたが、働きたくないので、就活したくないと。でも、やりたい事もないと。

まあ、世の中何が正解かなんてわかりませんから、新卒採用だけが生きる道ではないですが・・・。

書評『ビッグデータ時代の新マーケティング思考』

ビッグデータ時代の新マーケティング思考

ビッグデータ時代の新マーケティング思考

 

事例が少ないので、やや教科書的な内容でした。

 

従来のマーケティングは、広告をしても売れるか売れないかという結果でしか、その施策を評価できなかった。そして、施策を最適化していくという概念がなかった。しかし、ウェブの時代となり、広告の施策の効果が細かくわかるようになった。ビッグデータの時代には、さらに広告の効果を測定できるようになる。だから、マーケターは、これまでのように顧客を想定してターゲティングするのではなく、リアルタイムに顧客を捕捉しながら、ターゲットを最適化していくという考えにならねばならぬ。

 

といった内容です。

では、具体的にどうすればいいのか?

残念ながら、そこの実例が乏しく書かれていなかったので、読んだ後に残るものが少なかったです。結局、ビッグデータは、これからの分野なので、これからなんでしょうね。

 

まだ事例と言っても、amazon、google、コンビニなどの一部であって、中小規模の会社ではまだまだのようです。

 

今年はビッグデータ元年となるのでしょうか?

書評『ビジョナリーであるということ』

ビジョナリーであるということ

ビジョナリーであるということ

 

この本を読んで、インドのアラヴィンド眼科病院のことを初めて知りました。

アラヴィンドは、一人の医師が「失明を根絶する」という信念をもって、立ち上げた病院で、革新的なシステムで、多くの貧しい人々を救っているそうです。

 

「大量、高品質、手頃なコスト」。この3つをモットーとして、受付から退院までのプロセスを完全に流れ作業にすることで、これを実現しています。看護士やカウンセラー、技師など各専門にスタッフを特化させ、いかに一人の医師の手術時間を確保し、効率よく手術するかを徹底し、他の病院の5倍のパフォーマンスで件数をこなすそうです。

 

「西洋の下位中流層の多くがファストフードを買えるように、途上国の人にも手が届く白内障手術を提供するしくみをつくれるはずだ」

 

まさに医療にマクドナルドのシステムを組み入れた訳です。

 

アラヴィンドでの治療は、患者が任意でお金を支払う仕組みになっています。貧しい人は無料。こうした仕組みでも、十分に黒字を確保して、財政的な自立を保っています。

その信念だけでなく、無料とする事で、多くの人がその評判を広げてくれる、また患者数が多くなる事で、医師の技術の向上が早いなどのメリットを得ています。

 

これって、医療のフリーミアムモデルです。まさか医療でこの収益モデルが成り立つとは思いませんでした。

 

アラヴィンドのケーススタディは、ハーバード・ビジネススクールで20年以上、使われているそうです。

 

このシステムも凄いですが、こうした社会起業を立ち上げた医師も凄いです。

人間の意思の凄さ、ビジョナリーとはこういう事を言うのだと納得しました。

書評『ひとを動かす技術』

ひとを動かす技術

ひとを動かす技術

 

セス・ゴーディンやザッポスのトニー・シェイ絶賛の本です。

M&A会社のコンサルタントが、とある企業買収のためにその経営陣、社員を説得するにはどうすればいいかという物語が書かれています。

 

人を動かすには、どうすればいいでしょうか?

簡単にまとめれば、

 

・相手の利益を考えること

・相手を打ち負かすとは考えず、引き寄せること

・自分が何者であるかという、自分のあり方を伝えること

・能力ではなく、人格を信じてもらうこと

・相手に自分の問題だと気付かせ、考えさせること

 

結構、確かにとうなずかせる言葉が多かったです。

物語になっているので、読みやすく、すぐに読めます。

 

コストパフォーマンスは高くないので、中古品が安くなったら一読することをオススメします。

書評『個を動かす』

個を動かす  新浪剛史、ローソン作り直しの10年

個を動かす 新浪剛史、ローソン作り直しの10年

 

ローソンの経営改革の10年間を描いた本です。

新浪社長が就任してから、ローソンがどのような経営戦略をとっていたのかがよくわかります。

 

この本を読んで改めて思い出したのですが、ローソンって昔はダイエーの子会社だったんですよね。ダイエーがバブル期の不動産開発などに失敗し、その負債圧縮のために、ローソンが上場する事になった。

そのため、上場によって高い株価をつけようと、強引な出店攻勢をかけて、ずいぶんとローソンの経営は痛みます。

 

そこに上場後、新浪社長が、親会社として経営参画した三菱商事から送り込まれてくる。そうした逆境からスタートしたローソンの経営改革。面白いです。

 

特に面白いと思ったのが、セブンイレブンと違う経営スタイルを築いたことです。

それは、いわば中央集権と地方分権という構図。

 

・セブンイレブン=中央集権

 

鈴木会長の肉声を全国の店舗指導員を集めて届け、現場の声を収集し、POSデータで検証する。

 

・ローソン=地方分権
セブンのマネでは勝てない。顧客の多様化に伴い、店舗、人材の多様化を図り、権限を移譲する事で現場力を生かす。

ルーチンワークを大連の中国人を使って、アウトソーシングし、小さな本社を目指す。本社では、Pontaによるビッグデータ活用で、従来のPOSデータ分析から、さらに進んだCRMを実現。さらには、物流の効率化、購買商品の共通化といったSCMを強化。これからSPAとして海外展開も図っていくらしいです。

 

万年2位のイメージしかないローソンですが、新浪さんはちゃんと考えた経営やってたんだと気付かされます。

あけましたおめでとうございます。

あけましたおめでとうございます。

 

年末からすっかり、ブログをサボるクセがついてしまい1週間ほど更新をしておりませんでした。未だに書き始める決心がついておりません。

 

結構、これも習慣の問題で、書き始めると続くのですが、一度サボり始めると、ずるずると・・・。

 

とは言いつつも、本はきちんと読んでおります。

今年もよろしくお願いいたします。

書評『BQ 次代を生き抜く新しい能力』

BQ〜次代を生き抜く新しい能力〜

BQ〜次代を生き抜く新しい能力〜

 

クレディセゾンの社長が書いている本です。

変化の激しい次代、これからのビジネスパーソンに必要なスキルは「BQ」。

 

BQ(ビジネス感度)=IQ(知性)×EQ(理性・人間性)×SQ(感性)

 

IQ=論理的思考能力・地力

 

EQ=自分及び他人の感情を理解・認識し、自己を動機づける、自分や周囲とのコミュニケーション・対人間関係能力

 

SQ=外的刺激に対する感受能力やひらめき、気づき、観察力、直観力

 
 
特に必要なのがSQ。つまり感性が大事だと言います。
それはそうだけれど、かなり漠然としています。
感性を磨くには、多くの経験をして多くの異様なものに触れろという事ですが・・・。
 
書いている人自体が古く、自身がクレディスイスで成功したこと「永久不滅ポイント」「サインレス」「即与信・即発行」を殊更に強調しているだけで、とても感性が大切と説くに値せずといった感じです。老人に特有の昔の自慢話かと。
 
そして、BQに優れた人として事例に挙げているのが、サイバーエージェント藤田社長、ソフトブレイン創業者の宋氏。古くないか?
 
BQという定義自体もだからどうしたといった感じです。
サラリーマン社長が何を言っても、あまり説得力がないと思うのは私だけでしょうか。
リスク取れと言う割に、著者自身がリスクと呼べるほどのものを取ってないところが残念。もう少し、別のテーマで本を書いて欲しかった。