書評『個を動かす』
- 作者: 池田信太朗
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2012/12/13
- メディア: 単行本
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ローソンの経営改革の10年間を描いた本です。
新浪社長が就任してから、ローソンがどのような経営戦略をとっていたのかがよくわかります。
この本を読んで改めて思い出したのですが、ローソンって昔はダイエーの子会社だったんですよね。ダイエーがバブル期の不動産開発などに失敗し、その負債圧縮のために、ローソンが上場する事になった。
そのため、上場によって高い株価をつけようと、強引な出店攻勢をかけて、ずいぶんとローソンの経営は痛みます。
そこに上場後、新浪社長が、親会社として経営参画した三菱商事から送り込まれてくる。そうした逆境からスタートしたローソンの経営改革。面白いです。
特に面白いと思ったのが、セブンイレブンと違う経営スタイルを築いたことです。
それは、いわば中央集権と地方分権という構図。
・セブンイレブン=中央集権
鈴木会長の肉声を全国の店舗指導員を集めて届け、現場の声を収集し、POSデータで検証する。
・ローソン=地方分権
セブンのマネでは勝てない。顧客の多様化に伴い、店舗、人材の多様化を図り、権限を移譲する事で現場力を生かす。
ルーチンワークを大連の中国人を使って、アウトソーシングし、小さな本社を目指す。本社では、Pontaによるビッグデータ活用で、従来のPOSデータ分析から、さらに進んだCRMを実現。さらには、物流の効率化、購買商品の共通化といったSCMを強化。これからSPAとして海外展開も図っていくらしいです。
万年2位のイメージしかないローソンですが、新浪さんはちゃんと考えた経営やってたんだと気付かされます。