本とぽんず

ビジネス書籍の書評などをあれこれ綴るブログ

書評『個を動かす』

個を動かす  新浪剛史、ローソン作り直しの10年

個を動かす 新浪剛史、ローソン作り直しの10年

 

ローソンの経営改革の10年間を描いた本です。

新浪社長が就任してから、ローソンがどのような経営戦略をとっていたのかがよくわかります。

 

この本を読んで改めて思い出したのですが、ローソンって昔はダイエーの子会社だったんですよね。ダイエーがバブル期の不動産開発などに失敗し、その負債圧縮のために、ローソンが上場する事になった。

そのため、上場によって高い株価をつけようと、強引な出店攻勢をかけて、ずいぶんとローソンの経営は痛みます。

 

そこに上場後、新浪社長が、親会社として経営参画した三菱商事から送り込まれてくる。そうした逆境からスタートしたローソンの経営改革。面白いです。

 

特に面白いと思ったのが、セブンイレブンと違う経営スタイルを築いたことです。

それは、いわば中央集権と地方分権という構図。

 

・セブンイレブン=中央集権

 

鈴木会長の肉声を全国の店舗指導員を集めて届け、現場の声を収集し、POSデータで検証する。

 

・ローソン=地方分権
セブンのマネでは勝てない。顧客の多様化に伴い、店舗、人材の多様化を図り、権限を移譲する事で現場力を生かす。

ルーチンワークを大連の中国人を使って、アウトソーシングし、小さな本社を目指す。本社では、Pontaによるビッグデータ活用で、従来のPOSデータ分析から、さらに進んだCRMを実現。さらには、物流の効率化、購買商品の共通化といったSCMを強化。これからSPAとして海外展開も図っていくらしいです。

 

万年2位のイメージしかないローソンですが、新浪さんはちゃんと考えた経営やってたんだと気付かされます。