本とぽんず

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書評『直感力』

直感力 (PHP新書)

直感力 (PHP新書)

 

羽生さんの本。

棋士に必要な力は『読み』『大局観』『直感力』の3つ。

 

若い時は、計算力や反射能力を使った『読み』を使った将棋をするが、年齢を重ねるごとに『大局観』と『直感力』の比率が高まるものらしい。

 

『大局観』と『直感力』は、経験の積み重ねによって、得られるものと書いている。

 

これって脳のパターン認識ですよね。

脳は省エネをするために、パターンを認識し、それを覚えることで反射的に物事を処理する特性がある。この直感力というのも、数々の棋譜を読み、それを引き出すという思考を繰り返すことで、合理的な思考を瞬時に引き出せるようになる。

 

羽生さんは、直感力は経験からくるもので、多様な価値観に触れることで、直感力も磨かれると書いている。

 

確かにおっしゃる通りなんだろうなと思いました。

 

興味深かったのが、どのように棋士は思考しているのかという点。

 

将棋はひとつの場面で約80通りの可能性があると言われている。その中から最初に直感によって、2つないし3つの可能性に絞り込んでいく。残りの77とか78という可能性については捨てる。大部分の選択肢は見た瞬間に捨てているということになる。

 

その2つないし3つ選び出す作業とは、写真を撮る時のようなものだと捉えている。ピントを合わせるような作業が直感の働きである。なんとなく、ここが急所ではないか、要点ではないかといったことを、それまでの自分自身の経験則や体験、習得してきた事の一つの表れとして掴むことができたら、そこに直感が働いている。

 

9割以上の選択肢は、瞬時に捨てるんですね。

確かにすべての可能性を計算するのは、コンピュータでないと無理です。

 

その9割捨てるという作業を、経験によるパターンが代行してくれるという訳です。

人間の脳って凄いなと思いました。

 

 

ちなみにこの『直感力』という本。面白いのは初めの1、2章だけで、後は普通です。

前作の『大局観』の方が面白いです。