本とぽんず

ビジネス書籍の書評などをあれこれ綴るブログ

書評『現実を視よ』

現実を視よ

現実を視よ

 

ユニクロ柳井さんの本。

基本的な内容は、『この国を出よ』と同じです。

 

・日本の財政は破綻寸前

・官僚・政治家は三流、四流だ

・この20年間、日本はアジアの成長から取り残されている

・もっと外国に行けよ

・ユニクロは売上5兆円目指します

・サラリーマンこそ、不安定な時代だ

・稼ぐことを思い出せ

・この国は、お金を稼いでいる人が稼いでない人に与える社会主義だ

・志を持って生きろ

 

という内容です。

 

柳井さんの考え方をまとめられた箇所があるので、それも書いておきます。

 

①起こっていることは、すべて正しい

自分に不都合なものであっても、目の前の事実を躊躇なく受け入れること。

 

②人間は求めていい

「生きる」とは、そもそも「求める」こと。もっともっとしたいという欲望があるからこそ、生きるエネルギーが湧き、科学や文明が進歩した。「求めない」とはブロイラーのように、口を開けてエサが来るのを待っている状態である。「求めない生き方」は、自らの可能性を閉ざし、人間性の否定にすらつながる。この事実を学校教育でもっとしっかり教えるべき。

 

③需要は「ある」のではなく「つくりだす」

「日本は成熟社会だから、もう成長できない」「景気が悪いから需要がなくて、モノが売れない」いますぐ、そうした考え方を捨てるべきである。需要を新しくつくり出すためには、顧客の立場に立って、「いったい何に不満を感じておられるか」という潜在ニーズを、頭をふり絞って日夜、考える。

 

サムスンに躍進の秘訣を聞きに行け

自分たちにないものを持っているなら、それを取り入れることで競争力を高められるなら、世界のどこにある企業だろうと出向いていって、教えを請う。そうしたフットワークの軽さがないと、変化の速いグローバルマーケットを勝ち抜くことは、到底できない。

 

⑤売れる商品は、世界中どこでも同じ

売れる商品というのは、国や地域に関係なく、世界中どこでも同じ。これが悪戦苦闘しながらグローバル化を進める中でつかんだ、一つの真実である。

 

⑥100億円売ろうと決めねば、100億円売れない

優秀な人間ほど、過去の思考パターンに引きずられる傾向がある。一つのパターンが何度も通用するなら、ビジネスで失敗する人はいない。だからこそ、成功は一日で捨て去らなければならない。商売において絶対に必要なのは、現場に立って感じる直感や肌感覚。そのセンスを磨くことを怠って理論に頼っていては、成功など夢のまた夢だろう。

 

⑦戦うのなら、「勝ち戦」をすること

何が正しくて、何が間違っているかは、結局のところ、自分で経験してみないかぎりわからない。いくら本を読んだり、人の話を聞いたりしても、同じである。挑戦し、失敗するから原理原則がわかる。傷を負い、痛い思いをして、自分の血肉になったものだけが、次のチャンスで威力を発揮する。但し、致命傷を負ってしまったら、学んだことを次の機会に活かせなくなってしまう。ここまでの失敗なら耐えられるというラインを決めておき、マズくなったら直前で撤退する。戦うのならば、負け戦とわかっていることはしない。

 

⑧日本語はハンデにならない

勤勉で努力を惜しまない、仕事に対する責任感、謙虚に学ぶ姿勢、思いやりの心といった日本人らしさは、どこの国に行ってもハンデにはならない。

 

⑨日本の「商人道」を取り戻せ

日本は国土も狭いうえに、天然資源に恵まれている訳でもない。だから、一所懸命に商売をして稼ぐ以外、生きていく道はない。国を興すには、商人道しかない。

 

⑩苦しいときほど「理想」をもて

こうなりたいという理想があれば、いろいろなものが見えてくる。誰にとっても人生は一度だけ。それなのに、「いまの状態がいつまで続くのだろうか」「いざとなったら国はなんとかしてくれるのか」と、たった一度の人生を他人任せにして、びくびくしながら生きるのは、じつにもったいない。人生の主役は自分自身。自分の中にどれほどの可能性が詰まっているか、試してみないとわからない。

 

結構、自己啓発書にありがちな内容ですが、柳井さんが言うと説得力ありますね。

しかし、こうしたビジネス書を手に取る人たちは、こういった事にほとんど自覚があって、むしろ読まなければならない人にかぎって、こうした内容を目にしないのが現実ではないでしょうか。それが残念でならないです。

 

民主党、自民党もばっさり斬って、橋本徹氏に期待しているという部分も、国民の感覚としては一致しています。あとは、この理念がどこまで実行されるかですが。

 

 

個人的に気に入った言葉は、

 

「いくら過去を振り返ったところで、そこからは何も生まれてこない。改革やイノベーションは、つねに未来にある。」

 

前を向いて歩んでいきましょう!