書評『現実を視よ』
![現実を視よ 現実を視よ](http://ecx.images-amazon.com/images/I/3104o7OiQEL._SL160_.jpg)
- 作者: 柳井正
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2012/09/21
- メディア: 単行本
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ユニクロ柳井さんの本。
基本的な内容は、『この国を出よ』と同じです。
・日本の財政は破綻寸前
・官僚・政治家は三流、四流だ
・この20年間、日本はアジアの成長から取り残されている
・もっと外国に行けよ
・ユニクロは売上5兆円目指します
・サラリーマンこそ、不安定な時代だ
・稼ぐことを思い出せ
・この国は、お金を稼いでいる人が稼いでない人に与える社会主義だ
・志を持って生きろ
という内容です。
柳井さんの考え方をまとめられた箇所があるので、それも書いておきます。
①起こっていることは、すべて正しい
自分に不都合なものであっても、目の前の事実を躊躇なく受け入れること。
②人間は求めていい
「生きる」とは、そもそも「求める」こと。もっともっとしたいという欲望があるからこそ、生きるエネルギーが湧き、科学や文明が進歩した。「求めない」とはブロイラーのように、口を開けてエサが来るのを待っている状態である。「求めない生き方」は、自らの可能性を閉ざし、人間性の否定にすらつながる。この事実を学校教育でもっとしっかり教えるべき。
③需要は「ある」のではなく「つくりだす」
「日本は成熟社会だから、もう成長できない」「景気が悪いから需要がなくて、モノが売れない」いますぐ、そうした考え方を捨てるべきである。需要を新しくつくり出すためには、顧客の立場に立って、「いったい何に不満を感じておられるか」という潜在ニーズを、頭をふり絞って日夜、考える。
④サムスンに躍進の秘訣を聞きに行け
自分たちにないものを持っているなら、それを取り入れることで競争力を高められるなら、世界のどこにある企業だろうと出向いていって、教えを請う。そうしたフットワークの軽さがないと、変化の速いグローバルマーケットを勝ち抜くことは、到底できない。
⑤売れる商品は、世界中どこでも同じ
売れる商品というのは、国や地域に関係なく、世界中どこでも同じ。これが悪戦苦闘しながらグローバル化を進める中でつかんだ、一つの真実である。
⑥100億円売ろうと決めねば、100億円売れない
優秀な人間ほど、過去の思考パターンに引きずられる傾向がある。一つのパターンが何度も通用するなら、ビジネスで失敗する人はいない。だからこそ、成功は一日で捨て去らなければならない。商売において絶対に必要なのは、現場に立って感じる直感や肌感覚。そのセンスを磨くことを怠って理論に頼っていては、成功など夢のまた夢だろう。
⑦戦うのなら、「勝ち戦」をすること
何が正しくて、何が間違っているかは、結局のところ、自分で経験してみないかぎりわからない。いくら本を読んだり、人の話を聞いたりしても、同じである。挑戦し、失敗するから原理原則がわかる。傷を負い、痛い思いをして、自分の血肉になったものだけが、次のチャンスで威力を発揮する。但し、致命傷を負ってしまったら、学んだことを次の機会に活かせなくなってしまう。ここまでの失敗なら耐えられるというラインを決めておき、マズくなったら直前で撤退する。戦うのならば、負け戦とわかっていることはしない。
⑧日本語はハンデにならない
勤勉で努力を惜しまない、仕事に対する責任感、謙虚に学ぶ姿勢、思いやりの心といった日本人らしさは、どこの国に行ってもハンデにはならない。
⑨日本の「商人道」を取り戻せ
日本は国土も狭いうえに、天然資源に恵まれている訳でもない。だから、一所懸命に商売をして稼ぐ以外、生きていく道はない。国を興すには、商人道しかない。
⑩苦しいときほど「理想」をもて
こうなりたいという理想があれば、いろいろなものが見えてくる。誰にとっても人生は一度だけ。それなのに、「いまの状態がいつまで続くのだろうか」「いざとなったら国はなんとかしてくれるのか」と、たった一度の人生を他人任せにして、びくびくしながら生きるのは、じつにもったいない。人生の主役は自分自身。自分の中にどれほどの可能性が詰まっているか、試してみないとわからない。
結構、自己啓発書にありがちな内容ですが、柳井さんが言うと説得力ありますね。
しかし、こうしたビジネス書を手に取る人たちは、こういった事にほとんど自覚があって、むしろ読まなければならない人にかぎって、こうした内容を目にしないのが現実ではないでしょうか。それが残念でならないです。
民主党、自民党もばっさり斬って、橋本徹氏に期待しているという部分も、国民の感覚としては一致しています。あとは、この理念がどこまで実行されるかですが。
個人的に気に入った言葉は、
「いくら過去を振り返ったところで、そこからは何も生まれてこない。改革やイノベーションは、つねに未来にある。」
前を向いて歩んでいきましょう!