本とぽんず

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書評『日本型リーダーはなぜ失敗するのか』

日本型リーダーはなぜ失敗するのか (文春新書)

日本型リーダーはなぜ失敗するのか (文春新書)

 

『失敗の本質』のリーダーシップ版とでも言えそうな本です。

太平洋戦争の指揮官、参謀を事例に「なぜ日本型リーダーは失敗したのか?」その教訓を与えてくれます。

 

結論を書きますと、日本型リーダーの失敗は、トップである司令官とそれを補佐する参謀の権限と責任が不明確になってしまったことが、挙げられています。

 

日本型リーダーの発祥は、西南戦争にあるそうです。この時、政府軍の「総督」には有栖川宮熾仁親王が任命され、「参軍(参謀長)職」には山県有朋と川村純義が就きました。

 

有栖川宮の役どころは「指揮官」というより「ミカドの名代」。錦の御旗、つまりお飾りであり、実質的な采配は参謀長がとった。

 

この西南戦争での勝利により、明治政府では、リーダーは何もしなくても、参謀さえしっかりしていれば問題ないという流れができてしまった。そして、日露戦争の時、大山巌東郷平八郎という司令官を「威厳と人徳あるリーダー」として、神格化してしまった事が、昭和になり、リーダーの形骸化を招くこととなる。

 

参謀は戦略を起案するスタッフである。そして、自由は発想をもたせるために、その責任は問われることがなかった。この事が、権限をふりかざしながらも、全く責任をとらない参謀を輩出し、結果的に太平洋戦争での敗北につながっていったという。

 

ひるがえって、今の日本の政治家や官僚も同じように見える。

マニュフェストは全く達成されないまま、責任を一切とらない。官僚というスタッフが自由に政策を立案するが、彼らは責任を問われることがない。

 

この本ではリーダーの条件を6つ挙げています。

 

①最大の仕事は決断にあり

②明確な目標を示せ

③焦点に位置せよ

④情報は確実に捉えよ

⑤規格化された理論にすがるな

⑥部下には最大限の任務の遂行を求めよ

 

果たして、今の政治家はこれらの条件を満たしているでしょうか。。。