書評『なぜビジョナリーには未来が見えるのか?』
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なぜビジョナリーには未来が見えるのか? 成功者たちの思考法を脳科学で解き明かす
- 作者: エリック・カロニウス,花塚恵
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/07/26
- メディア: 単行本
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スティーブ・ジョブズ、リチャード・ブランソン、ウォルト・ディズニー。
なぜ成功者たちは未来が見通せるのか。
その疑問を脳科学の視点から考えている本です。
なぜビジョナリーには未来が見えるのか?
その理由として、ビジョナリーはバイアスを乗り越えているという結論を書いています。脳は、膨大な情報を処理するため、パターンとして物事を捉えることで、情報を処理する。結果として、それが物事を見落とすことにつながる。
ビジョナリーは、みなが見落としているものを見つける。パターンを発見し、それに違和感を持ち、物事を見る。
脳はある特定のシナリオを認識すると、記憶にある似たようなパターンに照らして反応するそうです。脳がパターンを必要とする理由は2つ。
①脳の情報処理速度が比較的遅いため
②脳のワーキングメモリに限界があるため
脳は、パターンを認識するおかげで、何か問題を察知してもゼロから考えずにすむ。
パターンの照合や比較だけなら、処理にそれほど手間がかからない。
つまり、私たちが日常生活を送れるのは、脳がパターンを認識してくれるおかげなのだそうだ。
しかし、パターンに基づいた予測能力には弊害がある。私たちを現在に縛り付けるのも、やはりパターンだからである。
人間の脳は、本来は複雑なはずのことをシンプルにして、考えやすくするためのルールを作ってきた。一切考えることなく決断を下す能力が、脳には備わっている。経験則は無意識に行動を左右する。これをバイアスという。
なるほど。
生き伸びるため、最適化されてきた脳だが、そこには盲点があるということです。
この本では、代表的なバイアスが紹介されていますので、そのまとめを書いておきます。
ある経験則によく似た物事を、その経験則に当てはめてしまう。
脳は事実よりもパターンを優先したがる。
・アンカリング
価値のわからないものを前にした時、人は最初に目にした価格を基準とする。アンカリングすると、それが頭の中に何度も出てくるので、次第に親近感が生まれる。親近感を覚えたものは、ニューロンによってパターンとして確立される。一度確立したパターンは永遠に脳内に残る。
・単純接触効果
人は目にする機会が多いものほど、好意的な気持ちになる。広告会社が同じ宣伝を何度もするのはこのため。
・認知バイアス
人は自分の所有物となったものを、実際の価値以上に価値があると思い込む傾向がある。たとえ間違った論理から生まれた意見でも、人は自分の意見をアンカリングする。そして、自分の意見を何としても守ろうと、その意見を裏付けるものを探そうとする。
・確証バイアス
人は、自分の意見は正しいと、自分に言い聞かせようとする。自分の見たいものを見ようとし、自分の期待に添うもの、自分の意見を擁護するものを信じる。
こうしたバイアスに打ち勝つ者だけがビジョナリーになれる。
世界をありのままに見る。
Free your mind !