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書評『なぜビジョナリーには未来が見えるのか?』

なぜビジョナリーには未来が見えるのか? 成功者たちの思考法を脳科学で解き明かす

なぜビジョナリーには未来が見えるのか? 成功者たちの思考法を脳科学で解き明かす

 

スティーブ・ジョブズ、リチャード・ブランソン、ウォルト・ディズニー。

なぜ成功者たちは未来が見通せるのか。

その疑問を脳科学の視点から考えている本です。

 

なぜビジョナリーには未来が見えるのか?

その理由として、ビジョナリーはバイアスを乗り越えているという結論を書いています。脳は、膨大な情報を処理するため、パターンとして物事を捉えることで、情報を処理する。結果として、それが物事を見落とすことにつながる。

 

ビジョナリーは、みなが見落としているものを見つける。パターンを発見し、それに違和感を持ち、物事を見る。

 

 

脳はある特定のシナリオを認識すると、記憶にある似たようなパターンに照らして反応するそうです。脳がパターンを必要とする理由は2つ。

 

①脳の情報処理速度が比較的遅いため

②脳のワーキングメモリに限界があるため

 

脳は、パターンを認識するおかげで、何か問題を察知してもゼロから考えずにすむ。

パターンの照合や比較だけなら、処理にそれほど手間がかからない。

つまり、私たちが日常生活を送れるのは、脳がパターンを認識してくれるおかげなのだそうだ。

 

しかし、パターンに基づいた予測能力には弊害がある。私たちを現在に縛り付けるのも、やはりパターンだからである。

 

人間の脳は、本来は複雑なはずのことをシンプルにして、考えやすくするためのルールを作ってきた。一切考えることなく決断を下す能力が、脳には備わっている。経験則は無意識に行動を左右する。これをバイアスという。

 

なるほど。

 

生き伸びるため、最適化されてきた脳だが、そこには盲点があるということです。

この本では、代表的なバイアスが紹介されていますので、そのまとめを書いておきます。

 

代表性ヒューリスティック

ある経験則によく似た物事を、その経験則に当てはめてしまう。

脳は事実よりもパターンを優先したがる。

 

・アンカリング

価値のわからないものを前にした時、人は最初に目にした価格を基準とする。アンカリングすると、それが頭の中に何度も出てくるので、次第に親近感が生まれる。親近感を覚えたものは、ニューロンによってパターンとして確立される。一度確立したパターンは永遠に脳内に残る。

 

・単純接触効果

人は目にする機会が多いものほど、好意的な気持ちになる。広告会社が同じ宣伝を何度もするのはこのため。

 

・認知バイアス

人は自分の所有物となったものを、実際の価値以上に価値があると思い込む傾向がある。たとえ間違った論理から生まれた意見でも、人は自分の意見をアンカリングする。そして、自分の意見を何としても守ろうと、その意見を裏付けるものを探そうとする。

 

・確証バイアス

人は、自分の意見は正しいと、自分に言い聞かせようとする。自分の見たいものを見ようとし、自分の期待に添うもの、自分の意見を擁護するものを信じる。

 

こうしたバイアスに打ち勝つ者だけがビジョナリーになれる。

 

世界をありのままに見る。

 

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