書評『ビッグデータの衝撃』
- 作者: 城田真琴
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2012/06/29
- メディア: 単行本
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最近、耳にすることが多くなった『ビッグデータ』という言葉。そのビッグデータの内容がまとめられており、事例も豊富に掲載されている本です。
ビッグデータの活用事例というと、amazon、google、facebookといった大手のウェブ関連企業だけかと思っていたら、結構様々な事例があることを知りました。
国内では、楽天やリクルート、クックパッド。ここまではわかりますが、例えばコマツの建設機械の遠隔監視、富士ゼロックスのコピー機の保守最適化、カーナビの渋滞予測などにもビッグデータが活用されているんですね。
これらの事例の中で、一番驚いたのがgoogleの「reCAPTCHA」というスパム防止の認証システム。人間でないと識別できない歪んだ文字などをパスワードとして入力させる仕組みです。
この歪んだ文字、実はgoogleが進めている書籍のデータ化において、OCR処理ではじかれたものらしいのです。つまり機械で判読できなかった文字を、別のサービスに利用して、人間の力を使って、解読してしまえってことをしているのです。
この発想力はスゴいと思いました。検索ワードの「もしかして」機能も同じ発想ですね。入力ミスを使って、入力補助をする。本来捨てるものを活かす。
こういう視点にたてば、案外新しい着想を得られるのかもしれないと思います。捨てているものを再利用できないかと考えるところからイノベーションを生み出す。
この本では、これからはユーザーのデータを保有する者が、今後特に重要になってくると書いています。確か『ビッグデータの時代』にも同じことが書かれていました。
海外ではとにかくユーザーの行動履歴を取得することに主眼が置かれ、そのデータを売買する市場もできているそうです。
今後はウェブサービスを設計する際も、いかに情報を収集できるかを念頭においた開発が求められるのでしょうね。