書評『なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編』
- 作者: 山田英夫
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2012/07/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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イノベーションのヒントを異業種のビジネスモデルから得ることをコンセプトにした本。様々な会社のビジネスモデルが紹介されており、参考になります。
初めて知ったのは、スター・マイカという不動産会社のビジネスモデル。
スター・マイカは、ゴールドマン・サックス出身の社長が、金融の裁定取引(アービトラージ)の収益モデルを、不動産に取り入れたところから始まります。
不動産の裁定取引。どこに、不動産の利ざやが生まれるのかというと、入居中の賃貸物件。日本では、賃貸人が住んでいる物件は、不動産価格が25%低くなるそうです。
スター・マイカは都心の入居者のいる賃貸物件を専門に買い取ります。その後、入居者が退去したら、リフォームして販売します。
このビジネスモデルの優れた点は、①入居者が退去して売買する時点で、不動産売却益が見込める点、②不動産が売れなくても賃貸収入がある点です。
スター・マイカの固定費は、賃貸収入の範囲内で賄われており、物件が売れなくても赤字にならないというビジネスモデルなのです。入居者がいつ退去するかわからないけれども、多くの物件を保有することで、必ず退去者が発生し、売却益も得られるのです。
このビジネスモデルには、一定の初期投資が必要ですが、スター・マイカは、これを外資系ファンドから集め、上場により返済。その後は、自己資金と銀行からの低利融資で運営しているそうです。
ここまで完成されたビジネスモデルはなかなか見つからなさそうです。しかし、どこかの業界には、こうした価格の不均衡はまだ存在しているような気もします。それが見つかれば大きなチャンスなのですが。
この本を読めば、いろいろとビジネスのアイデアも生まれるかもしれません。大手企業の新規事業担当者などにはオススメです。