本とぽんず

ビジネス書籍の書評などをあれこれ綴るブログ

書評『ザ・アドバンテージ』

ザ・アドバンテージ なぜあの会社はブレないのか?

ザ・アドバンテージ なぜあの会社はブレないのか?

 

「組織の健全性」こそ、競争優位を生み出すという内容の経営本です。

地味にいい本です。

 

ビジョナリーカンパニーに共通するのは、規律の文化。

まさに、この本は組織に規律の文化をもたらすにはどうすれば良いかというプロセスが書かれており、経営者だと読んでおいた方が良いです。

 

そもそも「組織の健全性」を軽視している経営者は多いと書かれています。

それは、戦略やマーケティング、財務、テクノロジーといった要素に比べて、数値化もできず、目に見えにくいからだそうです。

 

しかし、こうした戦略やマーケティング、財務、テクノロジーの土台となるのが、「組織の健全性」だと説きます。

 

組織の健全性とは、最小限の社内政治・混乱、高い勤労意欲・生産性、低い離職率。

こうした企業文化が、組織が持てる知識を一層活性化させることができると言います。

 

結局、経営も人が行うものであり、それを実行するのもまた人。

どれだけ優れた戦略を考えても、組織がぼろぼろであれば、それを完璧に実行することができない。

 

どうすれば、組織の健全性を獲得できるか。

簡単にまとめると、まず少人数のリーダーシップ・チームを作る。チーム全員が自分の弱みを見せて、お互いを知り、信頼を築く。その上で、会社の存在する意味や何をすべきかといったことを簡単な言葉で明確にする。あとは、その言葉を繰り返し、組織に浸透させていくというもの。

 

こう聞くと一見簡単そうにも思えますが、こうした企業のビジョンを組織の一人ひとりにまで浸透させるのは、本当に難しいと思います。それこそ、リッツ・カールトンやディズニーなどのように、企業文化として根付くような教育が必要です。

 

この本を読んで思ったのですが、経営というものは、最後は人にいきつく。

よく経営者が「人間学」を重視するのは、いかに人を動かすのかが大切かということなんでしょうね。そして、人を動かすのもまた人。経営者の人間性こそが大切になってくる。

 

人間的な魅力がなければ、一流の経営者にはなれない。これは一つの真実だと思いました。