書評『ワンクリック』
- 作者: リチャード・ブラント,滑川海彦(解説),井口耕二
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2012/10/18
- メディア: 単行本
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amazon創業者のジェフ・ベゾスの起業から成功するまでの物語が描かれた本です。
ウェブサービスを運営している人には、参考になる点があります。
ベゾスの経営哲学とは、次の4つ。
①徹底的な顧客第一主義
②きちんとしたものができるまで、発明、再発明を粘り強く続けること
③長期的に考えること
④「毎日が初日」である
当たり前のように思えますが、これを実践できる経営者は少ない。
顧客第一主義といっても、企業は利益を上げなければならないので、必ずどこかで顧客にその対価を求めざるを得ない。きちんとしたものができるまで、粘り強くと言っても、スピードとのジレンマに直面する。長期的に考えること、これは相当難しいです。経営者は株主からも短期的な実績を求められる訳ですから。
特にこの長期的に考えることについては、amazonは徹底していましたね。IPOまでずっと赤字。その後も、いつでも利益を上げられると言いつつ、ずっと売上優先で赤字経営を続けてきた。結果的に黒字化への転換を図りましたが、その過程ではずいぶんとリストラも行ったようです。
amazonがなぜ、ここまで成功したのか?
結局、ベゾスが作ったのは、本のカタログ通販をオンラインで行うといったものです。
この本で躍進の鍵として挙げているのが、次の戦略です。
①徹底した値引き
日本では本は法律により値下げ販売できませんが、米国ではamazonは時には40%引きといった安売り攻勢をしました。採算度外視で、値引きを行うことで、大手書店の参入を防いだ訳です。ここにベゾスの先見の明がありました。本は目玉商品として利益を出さなくても、他のものを売って稼ぐというビジョンがあったのです。
②徹底した利便性を追求する
オンラインで利便性って関係あるのかと思いそうですが、例えば「ワンクリック注文」「レコメンド」「カスタマーレビュー」など、とことんまで顧客の役に立つアイデアは取り入れていった。
③品揃え豊富に
また、配送を早く、品揃えをどこよりも豊富に。こうした徹底した顧客満足の追求こそが、ファンを増やすことにつながった。
④シンプルに
amazonのサイトはシンプル。アップルにも共通することですが、ベゾスは、インターネットで情報が溢れる中で、シンプルにすることが、顧客の使い勝手に有利に働くことがわかっていた。
こうした施策によって、顧客は口コミで増え続けた。
今では巨大になったamazonですが、スタートした時は、シアトルの自宅のガレージに、ベゾスとエンジニア2人、妻、コンピューター1台からスタートしています。当時は、注文が入ると、ベゾスも本の梱包を手伝っていたと言います。
企業が成功するには、なにが大切か。
その基本的なことを改めて教えてくれた気がします。
ウェブサービスを運営している人や起業家にはオススメです。