書評『選択の神話』
![〈選択〉の神話――自由の国アメリカの不自由 〈選択〉の神話――自由の国アメリカの不自由](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51F6iSLtx6L._SL160_.jpg)
- 作者: ケント・グリーンフィールド,高橋洋
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2012/12/13
- メディア: 単行本
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『選択の科学』のシーナ・アイエンガー推薦とのことで読んでみました。
行動経済学の本というよりは、「選択」というものについて論じた本です。
簡単に内容をまとめると、
私たちは自分のした選択は、自由意思に基づいていると思っているが、現実には次の要因で制限を受けている。
①脳の構造
プライミング、ビキニ効果、アンカリングなど、様々な認知バイアスによって、人の選択は操られている。
②文化
宗教、ナショナリズムなどの環境によって人の選択は知らずに制限されている。
③権力
人は、権力に従うという性質があり、例えばナチスのように、本人は気が付かずに妄信してしまう事がある。
④自由市場
すべてお金によって、分配される市場では、お金があれば選択の自由は広いが、お金がなければ、その自由はないに等しい。
よって、選択を行った責任は、すべて自己責任という考え方は、いささかやり過ぎであると。人はどうしようもない選択に迫られることがあり、その事を認識している事、他人の選択に対し、耳を傾け、その状況などを察する能力が大切である。また、個人だけでなく、公共政策の点からも選択をある程度制限することは妥当である。
といった内容です。
著者が法学者なので、どちらかというと、米国で規制に対して反対するリヴァタリアンや保守主義に対する批判がメッセージになっています。
値段の割には、期待したほどでもなかったです。