本とぽんず

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書評『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)

僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)

 

我々は資本主義経済の中では幸せになれないらしいです。

 

マルクスの『資本論』とロバート・キヨサキの『金持ち父さん、貧乏父さん』の主張には、共通点があります。「資本主義経済の構造では、労働者は搾取され続ける」。その解決策として、前者は共産主義革命、後者は不動産・株などへの投資を提示しています。

 

この本では、第3の案を提示しています。

 

まず、そもそもなぜ資本主義の構造では、労働者は裕福になれないのか?

それは、給料が経費の積み上げ方式で決められるからと説明しています。

その労働力を得るための必要経費分しか、給料は支払われない。

つまり、労働者が生み出す価値とは、無関係にしか給料は支払われないのです。

 

細かい理屈は省略します。

 

著者は、この労働者が恵まれない環境で、自己内利益を重視せよと説きます。

その方法として、自分にとってストレスを感じにくい仕事を選ぶこと。

スキルの積み上げで自分の労働価値が高まる仕事を選ぶこと。

 

よくよく考えれば、当然の内容だと思います。

 

この本の前提にある労働者には、ノルマに追われる営業マンが想定されているように思います。働いても働いても、成果はリセットされ、スキルの積み上げが難しい職種。

 

ただ、近年はどんな職種もコモディティ化が進んでいるように思います。

著者は、変化の少ない古くからの業界の方が、スキルが長期間にわたって有効なので良いとしていますが、ちょっと保守的にすぎる気がします。

 

建設業、農林水産業、鉄鋼業、出版業など。そもそも業界自体が疲弊していると思うのですが、どうなのでしょうか。

結局、安定を求め続けるというのが、幻想なのだと思います。常に変化に対して、学び続ける努力をしなければ生き残れない。そう考えている人は少ないのだろうか。