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書評『政権交代』

政権交代 - 民主党政権とは何であったのか (中公新書)

政権交代 - 民主党政権とは何であったのか (中公新書)

 

民主党政権とは何であったのか?

 

鳩山、管、野田とこれまでの民主党政権の迷走ぶりを振り返りながら、なぜ民主党は国民の期待を裏切ったのか、そもそも政権交代とは何だったのかのついて書かれた本です。

 

結論として、2009年の政権交代は、自民党政権への懲罰選挙であったとしています。

その背景には、小泉内閣が進めた新自由主義的政策により、格差の拡大が起こったことなどを挙げています。景気の不透明感、先行きの不安、そうした閉塞感が政権交代をもたらした。

 

確かに当時の政治もパッとしませんでしたよね。安倍、福田、麻生・・・。

 

この本の結論はさらに続きます。結局、現在の日本の代議民主主義は機能していないと。その理由は、次の3点です。

 

①有権者は、候補者の選挙公約を比較検討しているのではなく、所属政党によって投票していること。選挙公約の中身など関係ない。

 

②政治家は、選挙公約と国会活動が一致していないこと。

 

③有権者は、政治家が選挙公約を守ったかどうかを評価して、投票を行っている訳ではないこと。

 

つまり、政治家は公約を守らなくても責任を問われることはなく、有権者は公約が遵守されると信用していない。そのため、国民の民意は政治に反映されない。

 

そもそも、政権交代で政治が変わるという前提が幻想であり、神話であると結論づけています。実際に、バングラディシュでは20年にわたって2大政党が政権交代を繰り返しているそうですが、政局が安定せず、未だに世界最貧国の一つだと指摘しています。

 

政策が変わらなければ、政治は変わらない。しかし、民意が反映される選挙制度になっていないため、結局は政治は権力闘争の場でしかない。

 

政治家が国会で何をしてきたのか、選挙前の公約を守ったのかというチェック機能がない以上、こうした状況は変わらない。

 

次の政権交代でも政治は変わらないのでしょうか。

選挙前から冷ややかな気分になってしまうのは、ワタクシだけでしょうか。