書評『ザ・ディマンド』
![ザ・ディマンド 爆発的ヒットを生む需要創出術 ザ・ディマンド 爆発的ヒットを生む需要創出術](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41Uvrki-sXL._SL160_.jpg)
- 作者: エイドリアン・J・スライウォツキー,カール・ウェバー,佐藤徳之,中川治子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2012/07/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「ドラッカーの再来」と言われエイドリアン・スライウォツキーの本を読みました。昔『ザ・プロフィット』という収益モデルを20個ぐらい説明している本を出した経営家です。
爆発的なヒットを生み出すにはどうすればいいのか、という内容です。なるほど、確かに確かにという内容で、面白かったのですが、よくよく考えてみると、全部知っているよという知識なのです。
爆発的なヒットを生み出す法則として6つが紹介されているのですが、それは次のようなものです。
①マグネティック ー機能面と情緒面の「魅力」が需要を生み出す。
要するに優れた機能だけではなくて、顧客と感情的に結びつかなければダメというものです。単なるMP3プレイヤーとiPodの比較がされてました。
②ハッスル・マップ ー時間とお金をムダにする「欠点」を明らかにする。
顧客が日々煩わしさを感じていることを、明確化せよというもの。
③バックストーリー ー「見えない要素」で魅力を強化する。
外見からでは見えない要素が、ヒットの影にはあるんですよということ。アマゾンのキンドルとソニーのリブリエ。どちらのEインク技術を使ったディスプレイだけど、キンドルがヒットした理由は、本を直接ダウンロードできる点にあるとしています。つまり、同じようなものでも、その裏にはたくさんの顧客満足を満たす要素があると。
④トリガー ー人々を「夢中」にさせ、購買の決断を下してもらう。
人々は新製品が出ても、まずは様子見をして、簡単には飛びつかない。だから、様子見客を顧客に変えるきっかけが必要というもの。ネットフリックスのトリガーは「配送速度」、キンドルのトリガーは「書籍への瞬間的なアクセス」だった。
⑤トラジェクトリー ー魅力を「進化」させ、新しい需要層を掘り起こす。
常に製品を改善し続けよというもの。
⑥バリエーション ー「コスト効率の高い製品多様化」を図る。
平均的顧客をターゲットにすると、中途半端なものしかできない。だから、個別の顧客のニーズにバリエーションで対応せよというもの。ユニクロのようにたくさんのカラーを揃えるといったやつですね。
どうでしょう?
言われてみれば、今のヒット商品に共通していることで、聞いたことある内容だと思いませんか?
①は、明らかにappleの考えそのもので、ソーシャルマーケティングそのものですよね。②は、よく起業本にありがちな、顧客の未解決の問題を解決せよというもの。③はバリューチェーンの話です。④はビジネスモデルのキーとなる指標を探せってやつ。⑤は、リーンスタートアップやプランBの思想です。⑥は、ニッチから攻めろ。つまりキャズムの考え方です。
1冊にまとめられていると、確かにそうだよねと思うのですが、特に目新しい考え方でもなかったです。成功事例を分析すると、同じような結論に辿り着くってことでしょうか。
と、文句ばかり言っているようですが、本自体はいろいろ事例が掲載されており、面白いです。