本とぽんず

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書評『ザ・ディマンド』

ザ・ディマンド 爆発的ヒットを生む需要創出術

ザ・ディマンド 爆発的ヒットを生む需要創出術

 

「ドラッカーの再来」と言われエイドリアン・スライウォツキーの本を読みました。昔『ザ・プロフィット』という収益モデルを20個ぐらい説明している本を出した経営家です。

 

爆発的なヒットを生み出すにはどうすればいいのか、という内容です。なるほど、確かに確かにという内容で、面白かったのですが、よくよく考えてみると、全部知っているよという知識なのです。

 

爆発的なヒットを生み出す法則として6つが紹介されているのですが、それは次のようなものです。

 

①マグネティック ー機能面と情緒面の「魅力」が需要を生み出す。

要するに優れた機能だけではなくて、顧客と感情的に結びつかなければダメというものです。単なるMP3プレイヤーとiPodの比較がされてました。

 

②ハッスル・マップ ー時間とお金をムダにする「欠点」を明らかにする。

顧客が日々煩わしさを感じていることを、明確化せよというもの。

 

③バックストーリー ー「見えない要素」で魅力を強化する。

外見からでは見えない要素が、ヒットの影にはあるんですよということ。アマゾンのキンドルとソニーのリブリエ。どちらのEインク技術を使ったディスプレイだけど、キンドルがヒットした理由は、本を直接ダウンロードできる点にあるとしています。つまり、同じようなものでも、その裏にはたくさんの顧客満足を満たす要素があると。

 

④トリガー ー人々を「夢中」にさせ、購買の決断を下してもらう。

人々は新製品が出ても、まずは様子見をして、簡単には飛びつかない。だから、様子見客を顧客に変えるきっかけが必要というもの。ネットフリックスのトリガーは「配送速度」、キンドルのトリガーは「書籍への瞬間的なアクセス」だった。

 

⑤トラジェクトリー ー魅力を「進化」させ、新しい需要層を掘り起こす。

常に製品を改善し続けよというもの。

 

⑥バリエーション ー「コスト効率の高い製品多様化」を図る。

平均的顧客をターゲットにすると、中途半端なものしかできない。だから、個別の顧客のニーズにバリエーションで対応せよというもの。ユニクロのようにたくさんのカラーを揃えるといったやつですね。

 

どうでしょう?

言われてみれば、今のヒット商品に共通していることで、聞いたことある内容だと思いませんか?

 

①は、明らかにappleの考えそのもので、ソーシャルマーケティングそのものですよね。②は、よく起業本にありがちな、顧客の未解決の問題を解決せよというもの。③はバリューチェーンの話です。④はビジネスモデルのキーとなる指標を探せってやつ。⑤は、リーンスタートアップやプランBの思想です。⑥は、ニッチから攻めろ。つまりキャズムの考え方です。

 

1冊にまとめられていると、確かにそうだよねと思うのですが、特に目新しい考え方でもなかったです。成功事例を分析すると、同じような結論に辿り着くってことでしょうか。

 

と、文句ばかり言っているようですが、本自体はいろいろ事例が掲載されており、面白いです。