書評『丁寧を武器にする』
- 作者: 小山進
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2012/11/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ロールケーキブームを起こした関西の人気パティシエの仕事術。
看板商品「小山ロール」は、1日1600本売れたらしいです。
自己啓発から、人の育て方、ものづくりの哲学まで、幅広い内容が詰まっており、結構良著です。特に考えさせられたのが、これからの時代にどのようにものづくりをすべきかということ。
小山氏によれば、今のように何でも「足りている時代」には、人と同じことをしてはいけない。そして、プロとして「これが、あなたの欲しいものではないですか?」と提案していかなければならない、としています。
つまり、プロダクトアウトの思考です。リサーチをしても、顧客は欲しがっているものがわからない、だから自分の想いを込めて、ものづくりをして、それを伝えることが大切だと説きます。結果的に、小山氏は、兵庫県の郊外でお店をヒットさせます。
一昔前まではプロダクトアウトの考え方は、日本メーカーにありがちな典型的な失敗パターンとされていましたが、何でもニーズが満たされている時代には、むしろプロダクトアウトの考え方が求められる。
どうなんでしょうか?
確かにアップルもプロダクトアウトですよね。圧倒的に良いものを作って、ファンを獲得する。これって、一部の天才にだけ許された方法なのか、たまたま出した商品がヒットしただけなのか、普遍的な方法なのか。
今の時代、ケーキがおいしいのは当たり前。だからこそ、伝えること、そして日々新しいニュースを作ることが大切だと書いています。他のケーキ屋はシーズンごとにイベントをすることが多いが、小山氏の店では日々ニュースがあると。
結果的に運が良かったのか、何度やっても成功する人だったのか。
いろいろと考えさせられる本です。